超臨界流体 超臨界二酸化炭素(CO2)利用技術
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超臨界二酸化炭素 CO2

   適用分野とプロセス:抽出

有機溶媒を使用しないため、環境負荷低減に貢献可能で、食品にも安全
常温操作が可能なため、熱に弱い物質の取扱いが容易になる
圧力・温度を僅かに調節するだけで溶解度が大幅に変化するため、効率の良い分離が可能
  
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適用例:
ポリマー(樹脂)粉体の高純度化
脱脂、脱バインダー、精密洗浄
貴金属/金属酸化物の抽出
シリーズ運転の提案
  
<食品分野>
機能性成分の高圧抽出
機能性成分の効率的抽出
極性・無極性物質の同時抽出
  

 超臨界流体が持つ溶解性・輸送物性の優れた制御性を利用し、有効物質或いは不要物の抽出・精製分離を効率的に行えます。
 原料が固体、或いは液体だが処理量が少量な場合等には原料充填をバッチ式にしたプロセスを採用します。原料充填・払出は、蓋開閉が自動化された高圧バッチ抽出器を使用して短時間で行われ、超臨界流体は連続的に供給されます。
 右図に示す基本プロセスフローは、エントレーナ(助剤)を供給すると共に、抽出容器と分離器を複数設置し、シーリズ運転と2段分離(分画)に対応しています。
  抽出物を分離した後の二酸化炭素は、凝縮して液にし、貯留した後に、過冷却されて、再度、昇圧して、循環使用します。抽出処理中の二酸化炭素のロスは、分離器から排出される抽出物中に溶解している微量な二酸化炭素のみです。


 適用例: 香料・色素の抽出
参考文献:神戸製鋼技報,vol.40,No.4,p59
人参エキス・粉体の農薬除去 (参考文献 : 特開2001-8,659/10969)
ポリマー中不純物(オリゴマー他)の除去
 
超臨界流体抽出基本プロセスフロー

ポリマー(樹脂)粉体の高純度化 (揮発性成分の抽出除去)  
   有機溶媒を使用せず、熱劣化の影響なしに、重合プロセス中の重合溶媒、モノマー、オリゴマー等の揮発性/低分子量残留物(不純物)を、超臨界CO2の低粘性、且つ 高拡散性、ポリマー粉体中へのCO2溶解による高分子鎖間距離拡大による可塑化を活用し、低濃度まで抽出・除去することが可能です。
 工業用装置へのスケールアップには、可塑化効果等ポリマーと超臨界CO2の特性を十分に考慮した設計が重要です。

   
研究公表事例
1)  スチレン系樹脂(PS, AS, MAS, ABS)
2)  PVAc+ベンゼン/トルエン系、PS+ベンゼン系
3)  粘性が低く、流動性が高いNBR, PET, ナイロン6
3)  フッ素系,ポリエステル系樹脂、PC
 

脱脂・脱バインダー、精密洗浄  
   セラミックスの焼結時など粉体成形に用いられるバインダーは、通常、熱分解により気化して除去されますが、以下の欠点の代替法として、超臨界CO2脱バインダー技術があります。詳細は、"セラミックス 53 (2018) No.1"を参照下さい。

加熱分解脱脂<既存法:欠点> 超臨界CO2脱バインダーの特徴




脱脂中、成形体の変形変形や
種々の構造欠陥が発生しやすい
脱脂にかかる時間が長い
熱エネルギーの消費が大きい
炭素が残留しやすい





脱脂速度・量が制御しやすく、成形体の変形や構造欠陥を低減できる
脱脂時間が短縮できる
熱エネルギーの消費が少ない
多量のバインダーが添加でき、成形法に幅ができ、添加物の回収が可能である
非酸化雰囲気での脱脂である
脱脂温度が低い

   バインダー成分の超臨界CO2に対する溶解度を下図に示します。



 超臨界CO2に対する溶解特性とバインダーとしての必要要件を考慮した場合のバインダー組成物の構成は、以下のように整理できます。
   成分A:すぐ溶かすことのできる溶出成分、パラフィンワックス(PWaxと略)など
   成分B:成形体に強度を与える難溶性の高分子成分、ポリエチレン(PEと略)やポリスチレン等のプラスチックなど
   成分C:成分Bに柔軟性と流動性を与える可塑性付与(フタル酸エステルや脂肪酸エステルなど)、
      或いは、セラミック粉末の滑りを良くし圧力の伝達性、離型性を向上させる潤滑性付与成分(ステアリン酸(ST酸と略)など)
 この中で、主に除去するのは、成分Aです。成分Bは、成分Aが抽出されるときにセラミック構造体の強度を保つために必要です。超臨界脱脂は成形体の粒子間隙を通ってバインダーを抽出するので成分Aは極めて短時間に抜けてしまいますが、その際、成形体自体の強度を成分Bが担うために割れ等を防ぐことができます。
 脱脂後の成形体の強度、変形、ハンドリング時の破損などを考慮したバインダー成分の組合せ、設計が重要でその例を下表に示します。


 精密洗浄用途としては、切削機械部品の脱脂で、洗浄時間が従来(30~40分)の半分以下(10分)になり、労務費と用役費の削減効果が大きいとの報告(米国)があります。

貴金属/金属酸化物の抽出  
   超臨界CO2中でキレート剤(錯体形成剤)を用いることにより、廃自動車などの触媒中の白金族金属(Platinum Group Metals(PGM)、白金Pt、パラジウムPd、ロジウムRh、リテニウムRu他)を前処理などを行わずに、直接、且つ 効率的に抽出回収する事が可能です。試験例として、16~48mesh粉砕廃自動車触媒をキレート剤(Cyanex302)と20MPa、60℃の超臨界CO2中で10分間抽出処理した結果、白金、ロジウムが95%以上で回収されたと報告されています。   キレート剤と金属の錯体形成反応式

機能性成分の高圧抽出  
 

使用圧力 80MPa、使用温度 80℃
抽出容器 600ml、分離器 2段分離
 従来の超臨界CO2抽出は、30~50MPaまでの圧力を利用して抽出が行われていましたが、最近、より高圧・高温領域を利用する事で抽出効率がアップできる、微量成分の抽出が可能になる事例が研究成果として公表されつつあります。
 従来の水抽出、アルコール抽出、或いは、30MPa 超臨界CO2抽出とは異なる、更に高圧での超臨界CO2で抽出することで、昨今の機能性食品、健康食品市場での機能性成分の効率的な抽出に適用できる可能性があります。詳細は、以下を参照下さい。高圧抽出の検討スタートとなる抽出基礎データ取得のための受託試験が可能ですので、お問合せページよりご連絡下さい。

(1)  「高圧超臨界二酸化炭素による天然物からの機能性成分の抽出」、
月刊フードケミカル、p66、2006年10月号
(2)  「超高圧領域における超臨界二酸化炭素利用技術」,
こべるにくす,p11, No.32, Oct., (2007)
(3)  「Pressure Effect in Supercritical CO2 Extraction of Plant Seeds」、
J. of Supercritical Fulids 44 (2008) 301-307

機能性食品素材等の高圧抽出事例
ソーパルメット抽出油 (Saw Palmetto ノコギリ椰子) [49]
抗酸化剤 (カロチノイド:βカロチン、アスタキサンチン[73]、フェオフィチン、クルクミン、リコピン、ルテイン 他) [51]
 (トウモロコシ/ノコギリ椰子油) [71]
ポリフェノール(キサントフモール) [73]
不飽和脂肪酸 (種子油[52]、微細藻類[53] 他)
トリテルペン (スクアラン[54]、ファラジオール/アリニジオール[74])
ハーブ類 (コリアンダー[55]、カモミール[48]、ラベックス 他)、ピペリン[56]
脱キサンチン(ココア[57]、カカオ[73])/テオプロミン抽出[57]、ナッツ実[52] 他
カフェイン抽出(脱カフェ)[72]
  ● 超臨界CO2抽出物の特徴
(カロチノイド系、溶媒抽出との比較)
a)  溶媒の残留がなく安全
b)  常温抽出で天然のまま抽出でき、
原料特有の香りが豊富
c)  不純物が少なく、クリアー
d)  粘性が低く、流動性が高い


● 高圧超臨界CO2抽出の特徴
1)  生産性向上、処理費用の低減
2)  微少・高付加価値 機能性成分の
安全で効率的な抽出
3)  助剤 (Co-solvent) の低減、不要化

 


高圧抽出試験例

機能性成分の効率的抽出  
 
(1)  爆砕による前処理
抽出処理前に圧力を上げた後に、一旦減圧(爆砕処理)する事により、細胞壁等を有する被処理物の細胞壁を破壊する事により、抽出効率を改善する事ができます。
  右図は、抽出圧力に到達した後に、一旦臨界圧力近辺まで減圧した後に再加圧し、抽出処理したもので、明らかに爆砕前処理を行う方が抽出効率が改善しています。


(2)  圧力二段階変化による分画操作
コリアンダーによる、a) 80MPaの一段抽出とb) 30MPa⇒80MPaの二段抽出の事例 :二段目の80MPaでクリアーな抽出物が得られる。
 

抽出率に及ぼす爆砕前処理の効果
 


a) 80MPa一段抽出
 


b) 二段抽出 30MPa抽出物

80MPa抽出物
  超臨界ハイブリッド 新抽出プロセス (極性・無極性物資の同時抽出)  (特許4,113,230)


  シリーズ運転の提案

3基の抽出器を用いたシリーズ運転概念図
   超臨界流体を抽出に適用する場合、抽出器を単独で用いると以下の理由で、溶媒としての超臨界流体が有効に利用できません。このため、複数の抽出器を直列に並べて、バッチ運転であったものを半連続的運転を可能にするシリーズ運転を採用します。
1)原料充填・払出がバッチ式のため、その間は抽出器への超臨界流体の供給が停止される
2)被処理物からの抽出は、一般的に初期は溶解度律速で後半は拡散律速で進み、超臨界流体の溶解性を十分に活用
例:粉砕加工処理された大豆からの油分抽出→抽出率70%以降(抽出時間の約57%)は不飽和状態で超臨界流体が抽出器から排出される
最も簡単な3基の抽出器を用いたシリーズ運転概念図を右図に示します。これにより、加熱/冷却、分離等の超臨界流体の循環工程、分離工程のスリム化に繋がり、設備費及び用役費の低減が図れます。

参考文献:神戸製鋼技報,vol.42,No.3,p83


超臨界流体小型抽出器
 
超臨界流体抽出装置
(抽出容器:120 Liter)


超臨界流体抽出装置
(抽出容器:390 Liter)
 
超臨界流体抽出装置
(シリーズ運転例)

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