超臨界流体 超臨界二酸化炭素(CO2)利用技術
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超臨界二酸化炭素

   適用分野とプロセス : 乾燥
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界面張力フリーの理論的検討
応用例:多孔質材料エアロゲルの乾燥
新急速超臨界乾燥法(傾斜置換乾燥法)
表面・界面張力(Q&Aページ)

界面張力フリーで微細構造体を乾燥
乾燥中に働く応力(物資の密度や細孔構造を変化)による材料形状や物性への影響なしに乾燥を実現

 溶液プロセスを用いる材料合成等によって得られる生成物(微細構造体、多孔体等)は、溶媒を含む湿潤状態のため、通常、乾燥工程が不可欠です。最初溶媒に完全に浸された状態にある微細構造体等は、
  (1)柔軟性のある場合は、乾燥の初期段階では溶媒の蒸発の進行により溶媒の減少分が補填されずに
    構造体が収縮する、
  (2)乾燥が進行し構造体の表面が露出すると構造体内部に気相と液相の界面が生じ、界面の接線方向に
    向かって界面張力に起因する毛管力が生じ、構造体を収縮させる方向に応力を与える、
等の現象が起こり、物質の密度や微細構造の変化を伴い、材料の形状や物性に大きな影響を及ぼすだけでなく、微細構造体の倒壊や亀裂/割れが発生しやすくなります。

 超臨界乾燥は、通常の乾燥法と異なり、微細構造体内の液体溶媒(液相)が気相となる条件への移行過程(気液共存領域)での毛管力を発生させずに、液相から超臨界状態を経由して気相に移行させる事により、毛管力や溶媒の減少による収縮等を起こさないユニークな乾燥方法です。
 半導体の微細レジストパターンの乾燥(文献84)、MEMS(Micro Electro-Mechanical System)の犠牲層除去後の乾燥、シリカエアロゲル等の多孔体材料の乾燥に適用ができます。
 【注】 超臨界乾燥でも、他溶媒存在下で界面形成される過程では、界面張力が働くので注意が必要です!こちらを参照下さい。
 






超臨界乾燥技術の有効性に関する理論的検討
  シリカエアロゲルを例に、毛管収縮力による微細構造体の骨格破壊の定量的関係を柱上の梁構造をモデル化し、表面張力が小さいフロリナート(表面張力=13mN/m [水≒72、エタノール≒20mN/m)の乾燥を想定した理論的検討を実施しました。右図の破線より上方の網掛けで示した部分は破壊応力を超える領域で、毛管収縮力がこの領域にまで及んだ場合、ゲルが破壊される事を示します。80%の空孔率において破壊強度は数MPa程度ですが、空孔率を高めていくと共にゲル強度が次第に下がります。
  ・微細構造体の空隙率が95%を超えた領域で強度が急激に低下
  ・空隙率95%以下の領域では、粒径30~50nmであれば、毛管収縮力が破壊強度以下
  ・粒径が20nm以下では空隙率に関係なく毛管収縮力がセル破壊強度を超える
   →自然乾燥での材料形成が不可能であることを示す
 実際には、微細構造体の不均一性のため、更に厳しい条件が要求され、毛管収縮力の全くない超臨界乾燥技術は、微細構造体の創製に非常に有望なプロセスであると言えます。 詳細は、「超臨界プロセスによる超高空孔率薄膜の形成」 神戸製鋼技報, p39, Vol.52 No.2 (Sep.2002 )を参照下さい。


応用例 : 多孔質材料の乾燥
 
1)  ガラス並の透明性のシリカエアロゲル


【シリカエアロゲルの特徴】
(1)低嵩密度
50~250kg/m3
(2)低熱伝導率 0.014~0.021W/m/K
(3)高い透明性 90~94%@10mmt
(4)空気に近い屈折率 1.015~1.055
(5)低音伝播速度 120m/s
(6)高気孔率 90~98%
(7)大比表面積 500~1,000m2/g


超臨界乾燥シリカエアロゲル
シリカエアロゲルの乾燥例 (φ200mm)
用途
透明断熱材
チェレンコフディテクター用媒体 (放射光検出器用素子)
音響材料/防音窓
吸着剤/触媒担体


 左図は、空孔率等が異なる3種類のエアロゲルを実際に超臨界乾燥した場合の乾燥/流通時間(横軸)によるゲル内に発生する応力を相対指数化(縦軸:ゲル内応力指数)したものです。
 CO2の流通時間を短くするとゲル内応力指数が大きくなり、割れやすくなります。これは、短時間での急激なアルコール濃度の変化により、多孔質内とバルクでの濃度差が大きくなり、大きな応力が発生します。
 ゲルの抵抗指数が大きくなる(例えば、ゲル内の迷宮度が大きくなり、ゲルからアルコールが抽出されにくくなる)ほど、応力指数が大きくなり、割れやすくなるため、流通時間を長くしなければならない事を示しています。

 左図の縦軸のゲル内応力指数が0.4~0.5の赤背景帯よりも下側の応力指数で適切な乾燥が可能になります。
     (超臨界乾燥を行うための適切な条件設定が重要です!)

●新急速超臨界乾燥法 : 傾斜置換乾燥法 (特許4,928,090)
 従来の乾燥法では界面張力で収縮、割れが発生し、超臨界乾燥法が使用されます。
 ところが、アルコゲル内のアルコールの拡散が乾燥の律速段階(厚さ方向の中心、流れ方向の出口側が最も乾燥に時間がかかる)になるとともに、表面張力が極小の超臨界CO2であっても、乾燥速度を速めるために急速にアルコールを置換すると、超臨界CO2とアルコールの界面張力によりゲルの収縮、割れが発生することが判明しました。
右写真参照 ⇒
 このため、エアロゲルのような極細空隙の多孔体を効率的に、かつ、破壊、収縮させずに乾燥させるために、以下の検討を行い、新急速超臨界乾燥法 (傾斜置換乾燥法 (特許4,928,090)) を開発しました。
 ①急速乾燥時の乾燥律速と収縮要因の把握(小型試験装置での乾燥状況の動的観察)
 ②乾燥時の多孔体内部のアルコール置換シミュレーション (参考図はこちら
 ③バルクと多孔体内部間のアルコール濃度差(∝界面張力∝割れ・収縮)と多孔体内の物質移動速度を考慮した最適化プロセスの検討ならびにシミュレーション検証 (シミュレーション図
 ④相平衡データに基づく乾燥終点の検討と同③含めた検証試験
 ⑤上記を実現するため装置構築(均一分配・分散他)、など

 従来乾燥法では均一相化するのに多大な時間が必要になりますが、傾斜置換乾燥法では、ゲル表面のアルコール濃度を任意に強制的に変化させる事が可能なため、毛管収縮力とドライビングフォースを制御でき、効率的な乾燥法と乾燥装置のスケールアップ設計を可能にします。 詳細な説明書がありますので、お問合せより御請求下さい!

2)  その他多孔体への応用可能例
(1) 金属酸化物エアロゲル 細孔容積と比表面積の大きな多孔体 TiO2-SiO2、Pt-SiO2ゲル他
(2) ポリマーエアロゲル: 三次元構造を保有する有機多孔体 Pt,Pd,Ni高分散型多孔性ポリマー
(3) カーボンエアロゲル
  (ポリマーエアロゲルを熱分解)
メソ細孔性炭素、機械・化学的安定性+電気伝導性 同上金属高分散型多孔性カーボン
(4) 粘土層間架橋多孔体: ミクロ~メソ領域細孔を保持した多孔体 TiO2インタカレーション粘土鉱物 他
+ 機能性物資(金属/芳香物/薬効物他)の付与 高付加価値高分散型多孔質材料

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