産業用ガス、化成品

水素(液化水素・水素ガス・H2・hydrogen、CAS:1333-74-0)

    1A 周期表 0
    1
    H
    Hydrogen
    1.0079
    2A 3B 4B 5B 6B 7B 2
    He
    Helium
    4.0026
    3
    Li
    Lithium
    6.941
    4
    Be
    Beryllium
    9.0122
    5
    B
    Boron
    10.811
    6
    C
    Carbon
    12.011
    7
    N
    Nitrogen
    14.007
    8
    O

    Oxygen
    15.999
    9
    F
    Fluorine
    18.998
    10
    Ne
    Neon
    20.180
    11
    Na
    Sodium
    22.990
    12
    Mg
    Magnesium
    24.305
    13
    Al
    Aluminum
    26.982
    14
    Si
    Silicon
    28.086
    15
    P
    Phosphorus
    30.974
    16
    S
    Sulfur
    32.065
    17
    Cl
    Chlorine
    35.453
    18
    Ar
    Argon
    39.948
  • 常温常圧で無色無臭の気体です。原子番号は1の2原子分子、分子量は2.01588 g/mol。
  • 最も軽い気体(空気1に対し、0.0695)で、ガス密度が小さいため、速い速度で空気中を拡散し、空気中の爆発限界は、4.0 ~ 75.6 vol%とアセチレンに次ぐ広い爆発範囲を持っているので最新の注意が必要です。防爆:爆発防止用窒素ガスについて【限界酸素濃度】は、こちらを参照下さい。
  • 高温高圧では、水素が鋼中に侵入し、炭化物(セメンタイト)と反応して脱炭し、メタンガスが生成し、結晶粒界に蓄積し、その圧力が高くなり多数の微細な亀裂を生じさせ、この結果、鋼の機械的性質が低下(水素侵食:靭性が低下する損傷)させます。高圧高温下で水素を使用する場合は、米国APIが作成しているネルソン線図を使用して条件確認します。また、外力のかかった状態の金属材料に侵入し、機械的特性を低下させる(水素脆化:金属がもろくなる、靭性が低下する現象)の傾向があります。

  水素ガスは化学式がH2と表される無機化合物です。化学式から「エッチツー」とも呼ばれます。

外観
気体:無色・無臭、非常に軽く、燃焼・爆発しやすい性質。 液体:無色 。常圧のもとでは-252.87℃で液化、-259.14℃で固体になります。

容器(ボンベ)の色は 赤色 です。基本的な物性こちらを参照下さい。

    水素ガスボンベ
  • 水素(H、標準原子量:1.008)には、天然中に1H(水素・軽水素)、2H(重水素)、及び 3H(三重水素)の3つの同位体があります。その他には、非常に不安定な核種(4Hから7H)が確認されていますが、天然には存在しません。水素分子は、原子核(プロトン)の核スピンの配向により、おるととパラのに種類の異性体が存在し、化学的性質に違いはありませんが、比熱や熱伝導度等の物理的性質がかなり異なります。常温以上では、オルト水素とパラ水素の存在比は、およそ3:1です。
  • 水素ガスは、工業的には、メタンを主成分とする天然ガス等の水蒸気改質で大量に生産されます。水素は、硫安などチッソ肥料の原料、硝酸などの基礎化学品の原料となるアンモニア NH3の原料で、1906年に開発されたハーバー・ボッシュ法で水素と窒素でアンモニアが合成されるため、水素自体の製造は大昔に確立した技術です。 水素発生装置は、こちらを参照下さい。

水素ガスの用途 : さまざまな市場で使用されている2ガス

化学原料 市場 化学工業 市場 金属 市場 ガラス 市場 弱電 市場
アンモニア NH3 合成(ハーバー・ボッシュ法)、メタノール CH3OH 合成、塩化水素 HCl (水溶液は塩酸)、アニリン C6H5NH2合成 他の原料水素として利用されています。 化粧品、洗剤、香料、ビタミン剤などの薬品原料に水素添加するために使用されています。 ステンレス鋼の光輝焼鈍、焼結金属、磁性粉末製造などの雰囲気ガスとして使用されています。 光ファイバー、石英ガラス、フロートガラス製造時の雰囲気ガスとして使用されています。 IC・LSI・トランジスター、電子部品、液晶、PDP製造時の雰囲気ガスとして使用されています。
水素ガス 用途別シェア  圧縮水素ガスの日本国内販売量(JIMGA統計)は、2017年度で85.9百万Sm3で、右図に示す用途で使用されています。統計外で、圧縮水素ガスよりも輸送効率が高い液体水素、オンサイト装置(水素使用場所での水蒸気改質+PSA装置精製分)があります。2012年データでは、圧縮水素ガス1.01、液化水素0.35、オンサイト1.84億Nm3となっています。

水素・H2の状態図 (温度・圧力線図)

水素の温度-圧力線図

 状態図・相図は、水素・H2の相(固体・液体・気体)と熱力学的な状態量の関係を表したものです。物資がある相から他の相に変わることを相転移と言います。

 固体が液体に変わる現象が溶融、融解で、その相変化を示した曲線を溶融線、融解線と言います。
 液体が気体に変わる現象が沸騰、その逆が凝縮で、この温度が沸点で、その相変化を示した曲線を沸騰線、凝縮線、或いは、蒸気圧曲線と言います。
 固体が液体にならずにそのまま気体になる現象が昇華であり、この時の温度が昇華点で、昇華線と言います。

 水素・H2の三重点(固体・液体・気体の状態が同時に存在する) は、-259.347℃(13.8K)、0.00704MPa(abs)です。臨界点(critical point、気体と液体が共存できる限界の温度・圧力、これを超えた状態で通常の気体、液体とは異なる性質を示すユニークな流体は超臨界と言う)は、-240.18℃(32.97 K、臨界温度Tc)、1.293MPa(abs、臨界圧力Pc)です。

供給形態(ボンベ/シリンダー、カードル、セルフローダ/トレーラー)

  水素ガス・液 H2の供給形態・荷姿は、通常、以下のような種類があります。

(1) 一般容器(気体充填用)

 右表に一般容器のボンベ/シリンダーを示します。もっとも普及しているボンベは、7,000 Liter = 7 m3のものです。14.7MPa(g)(約150気圧)で気体状態で充填された水素ボンベの重さは約53kgになり、かなり重いため、取り扱いには注意が必要です。

水素ガスボンベ
H2 充填量 サイズ(概略) 空重量 内容積
7,000 Liter 232mmφ x 1,365mm高さ 52kg 46.7L
1,500 Liter 139.8mmφ x 965mm高さ 11.5kg 10.2L
500 Liter 101mmφ x 645mm高さ 6.0kg 3.4L
(2) カードル

水素ガス・カードル 中容量の輸送用容器として、上記のボンベを集結したもので、10本、20本、30本などがあります。大量に消費する場合は多くの本数が必要になりますが、簡単な設備で移動させることができます。

(3) セルフローダ、トレーラー

水素ガス・カードル 大容量の輸送用容器として、長尺容器(1本の長さが6m以上の長い大型容器)を集結したトレーラー(ゴム製タイヤが付き、そのまま牽引移動可能)やセルローダ(鉄製車輪が付き、ウインチ付き専用トラックにて移動)があります。長尺容器1本で水素容量60~140m3で、最大3,100m3容量のトレーラー例があります。

(4) 液体水素

 液化水素を輸送するための容器は、国内では、LGC(可搬式超低温容器)、コンテナ、ローリーの3種類が主に使用されています。LGCとコンテナは、輸送用としてだけでなく、そのまま使用場所に置いて消費先容器として使用可能です。液化水素は外部からの侵入熱により気化してしまうので、その貯蔵は、外部からの熱を極力遮断する断熱性に優れた断熱方法を採用する必要があります。そのため輸送用容器の断熱には、いずれも積層真空断熱方式(一部LN2シールド付も導入)が採用されています。
  また、ロケット燃料向けなどの大量供給に対しては、液化水素ローリー(内容積23,000)によりバルク供給が一般的で、この場合はローリーから低温貯槽などに液化水素を移し替えて貯蔵します。タンクローリーによる直接供給も可能ですが、高圧ガス保安法では、タンクローリーは移動式製造設備として取り扱われ、長時間以上同一場所に留め置いて使用する場合は、貯蔵設備としての届出も必要となるため、十分な注意が必要です。

(5) 水素ガス発生装置

 お客様の敷地に水素ガス発生装置を設置し、オンサイトで水素ガスを連続で供給します。詳細は、こちらを参照 下さい。

ボンベの刻印

  1. (1)容器所有者記号(例:H071)
  2. (2)充填ガスの種類(例:N2、O2、Ar、CO2等)
  3. (3)容器記号番号(例:ABC23456)
  4. (4)内容積(V:単位リットル)
  5. (5)容器重量(W:単位キログラム)(弁、キャップを含まない)
  6. (6)耐圧試験圧力(TP:単位MPa(g))
  7. (7)最高充填圧力(FP:単位MPa(g))

このページのトップへ